アプトス、メインネットで「暗号化メンプール」稼働 サンドイッチ攻撃対策

アプトス、10月12日(現地時間)にメインネットで暗号化メンプールを稼働、AIP-144に基づく
順序確定後、ステーク3分の2以上のバリデーターが共同で復号して初めて内容が公開
対応はペトラ・ウォレットが最初、暗号化取引の最低ガス価格は200オクタと2倍
レイヤー1ブロックチェーンのアプトス(Aptos)は、処理待ちの取引内容を隠す「暗号化メンプール(encrypted mempool)」をメインネットで稼働させた。アプトスは10月12日(現地時間)、公式ブログでこの機能がメインネットで動き始めたと明らかにした。メンプールはブロックに入る前の取引が待機する列で、これまでは誰でもその中身を事前に見ることができた。
何を売買するかは順序確定まで見えない
これまでは、取引が待機列に入った瞬間に何をどれだけ売買するかが明らかになっていた。ボットはこの隙を突き、大口の買い注文の直前に買って直後に売るサンドイッチ攻撃で利ざやを得てきた。新機能を選んだ取引はブロック内の順序が確定するまで内容を読めないため、こうした割り込みが難しくなる。ただし送信元アドレスと支払う手数料はそのまま見え、ブロック確定後は取引内容もチェーンに記録される。
ロックを解く鍵はバリデーターが分け持つ。アプトスによると、全バリデーターのステーク総量の3分の2以上が参加して初めて復号でき、1人のバリデーターや、ステークが3分の2に満たない集団では解けない。ブロック生成に必要な条件と同じ基準だ。その代わり、50ノードの試験ではブロックごとに約20ミリ秒余計にかかった。実装はセキュリティ企業のZKセキュリティ(ZKSecurity)が独立してレビューした。
この機能は今年1月9日に作成されたアプトス改善提案AIP-144に盛り込まれ、提案のステータスは「採択(Accepted)」だ。提案はフロントランニングやサンドイッチ攻撃といった有害なMEV(最大抽出可能価値)と検閲を抑えることを目標に掲げている。
新たな管理者を増やさない仕組み
アプトスはブログで、他チェーンの取引保護方式を表で比較し、違いは誰が取引を先に読めるかにあるとした。
| 信頼できるビルダー・プライベートRPC | フラッシュボッツ・プロテクト、ポリゴン非公開メンプール:ビルダーや運営者が取引の平文を見る |
|---|---|
| セキュアハードウェア(TEE) | NEARコンフィデンシャル・インテンツ:ハードウェアの隔離領域とそれを運用するバリデーターを信頼する必要がある |
| 外部の復号委員会 | ノーシス・チェーンとシャッター:チェーンのバリデーターとは別の委員会が鍵を持つ |
| プロトコル内蔵(アプトス) | 合意を担う既存のバリデーターがそのまま復号も担う |
アプトスは前の3方式はいずれも新たに信頼すべき主体を持ち込むとし、「The Aptos approach requires you to trust only who you were already trusting(アプトスの方式では、すでに信頼していた相手だけを信頼すればよい)」と述べた。ブロック全体を一度に復号するバッチ型しきい値暗号方式は論文にまとめ、セキュリティ学会ACM CCSに投稿中だとしている。
対応ウォレットはペトラから、手数料は2倍
暗号化は取引ごとに選ぶオプションだ。アプトスのウォレット、ペトラ(Petra)が署名画面で暗号化を選べる最初のウォレットとなり、アプトス基盤の無期限先物取引所デシベル(Decibel)は約定まで注文を隠すためにこの機能を使う予定だ。開発者はアプトスのTypeScript SDK v7.0.0以降で組み込むことができ、既存のMoveスマートコントラクトは修正不要だ。
コストは上がる。開発者ドキュメントによると、暗号化取引の最低ガス単価は200オクタと基本最低値の2倍で、復号費用として375ガス単位が別途かかる。キーレス(Keyless)ログインのアカウントなどはまだ使えず、アプトスはこの機能がデブネット・テストネット・メインネットのすべてで稼働していると案内した。
発表とは別に1日で8%下落したAPT
APTの価格は発表後、市場全体とともに下がった。13日午前にビットコインが8万1000ドル台まで下落するなか、韓国時間13日午後0時32分のウォン建て市場では、アップビットで1119ウォン、ビッサムで1107ウォンで取引された。バイナンス現物は0.8242ドルで24時間前より8.1%安く、この間の安値は0.7613ドルだった。
ウォン換算したバイナンス価格は約1099ウォンで、キムチプレミアム(韓国の取引所価格と海外価格の差)はアップビット基準で約1.8%だった。バイナンスのAPT無期限先物の次回の資金調達率は-0.011%で、ショートがロングに手数料を払う側だった。アップビットのAPTの直近52週高値は2025年10月15日の5630ウォン、安値は今年8月30日の708ウォンだ。