米SEC、運用会社の暗号資産「自己保管」容認へ規則案 州信託会社もカストディアンに

SEC、10月1日に投資顧問・ファンドの暗号資産カストディ規則案を公表 意見募集60日
カストディアンがなければ顧問会社が自己保管 2人承認・顧客別アドレスなどが条件
州認可の信託会社もカストディアンに 2025年のスタッフ見解を規則に格上げ
米証券取引委員会(SEC)は10月1日(現地時間)、投資顧問会社やファンドが顧客の暗号資産を自ら保管できるようにする規則案を公表した。投資顧問法と投資会社法(いずれも1940年制定)に基づくカストディ(資産保管)規則を改正する内容だ。預け先となるカストディアンがない場合は顧問会社が条件を満たしたうえで顧客の暗号資産を自己保管できるようにし、州政府の認可を受けた信託会社も暗号資産のカストディアンとして認めることが柱となる。
現行規則は、顧問会社に対し顧客資産を銀行や証券会社など「適格カストディアン」に預けるよう求めている。SECはファクトシートで「従来の資産と異なり、一部の暗号資産は現行規則上の適格カストディアンを容易に確保できない可能性がある」とし、新しい銘柄にはまだカストディサービスがない場合があると説明した。
預け先がない場合に限り自己保管
SECは自己保管に複数の条件を付けた。顧問会社は暗号資産を保管する前と、その後は四半期ごとに、適格カストディアンがないことを確認しなければならない。ファクトシートに記された主な条件は次の通り。
- 銘柄ごとに保管の専門性を備えている根拠を文書化し、秘密鍵の管理と「少なくとも2人が共同で承認しなければ取引できない」仕組みを整えること
- 顧客ごとに、その顧客の暗号資産だけを入れる専用アドレスで保管すること
- 保管開始から6カ月以内に、その後は毎年、独立した会計事務所から内部統制報告書を受け取ること
- 顧客に少なくとも四半期ごとに口座明細(アカウントステートメント)を送り、保管する暗号資産を州法上の「金融資産」として扱うことを書面で合意すること
投資信託などの登録ファンドも、運用会社(顧問会社)を通じて同じ方法で自己保管できる。ただしファンドの取締役会は「預け先のカストディアンがない」とする顧問会社の報告書を当初と四半期ごとに検討し、その暗号資産が合理的な注意を払って保管されているかを毎年判断する必要がある。
州信託会社、銀行と同様の扱いに
州認可の信託会社をカストディアンとして使う道も規則に盛り込まれる。これまで、こうした会社が規則上の「銀行」に当たるかは州法と連邦法に照らして個別に判断する必要があった。SEC投資運用局のスタッフは2025年9月30日、法律事務所シンプソン・サッチャー・アンド・バートレットの照会に答えたノーアクションレターで、信託会社を銀行として扱っても執行措置を勧告しないとの見解を示しており、今回の案はこれを委員会規則に格上げするものだ。
条件は4つの確認と1つの分別管理だ。顧問会社やファンドは取引開始前と毎年、信託会社が州の銀行監督当局から暗号資産カストディの認可を受けているか、暗号資産を守る社内規程を備えているかを確認し、直近の監査済み財務諸表と内部統制報告書を受け取って検討しなければならない。顧客の暗号資産は信託会社の自己資産と分けて管理する必要がある。
2023年に見送ったカストディ規則を見直し
SECは2023年2月、カストディ規則を幅広く改める「セーフガーディング(資産保護)」規則案を出したが採択せず、2025年6月12日に正式に撤回した。今回の案には暗号資産カストディのほか、監査を担う会計事務所に対する米公開会社会計監視委員会(PCAOB)登録要件の削除、ブロックチェーン上の記録を一定の条件で法定の保存記録として認める内容、顧問会社・ファンドの届出書(Form ADV・N-CEN)に暗号資産の保管やトークン化ファンド持分を尋ねる項目を加える内容も含まれた。
「Since the advent of Bitcoin in 2008, the crypto asset market has grown from a niche curiosity into a multi-trillion-dollar asset class to which investors actively seek exposure. Unfortunately, our rules and regulations have not kept pace.」(2008年のビットコイン誕生以来、暗号資産市場はニッチな好奇の対象から、投資家が積極的に投資機会を求める数兆ドル規模の資産クラスに成長した。残念ながら、我々の規則や規制はその変化に追いついていない)
ポール・アトキンスSEC委員長
ヘスター・パースSEC委員は別の声明で、今回の案の「自己保管」は投資家が仲介者なしに自ら資産を持つこととは異なるとして、「『シェルフ(棚)保管』という言葉の方がよかった」と述べた。そのうえで「規制当局は投資家の自己保管の権利を熱心に守るべきであり、資産を他者に預けるよう強制しようとしてはならない」と表明した。意見募集期間は規則案が連邦官報に掲載された日から60日間。
韓国時間2日午前10時31分、韓国の取引所アップビットのウォン建て市場でビットコインは1億1533万9000ウォンで取引された。同時刻のバイナンス価格は8万4592ドルで、キムチプレミアム(韓国の取引所価格と海外価格の差)はアップビット基準で約0.24%だった。