米財務省、暗号資産ミキサーとセルフホスト型ウォレットの報告規則案を撤回

FinCEN、セルフホスト型ウォレットとミキサー取引の報告規則案2件を撤回
ウォレット案は1万ドル超の報告と3000ドル超の記録を義務付ける内容だった
正当な活動の萎縮を懸念する意見を踏まえる一方、ミキサー監視は継続
米財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、セルフホスト型ウォレットが関わる取引を銀行・送金業者に、米国外の暗号資産ミキサー(複数の利用者のコインを混ぜて出所を分かりにくくするサービス)が関わる取引を金融機関に、それぞれ当局へ報告させる規則案2件を撤回した。撤回文書は現地時間10月5日に連邦官報の事前公開(パブリック・インスペクション)に掲載され、6日に正式に官報に掲載された。ウォレット規則案は2020年12月、ミキサー規則案は2023年10月に出されたものだ。
1万ドル超の取引は取引相手のウォレットまで報告
2020年12月23日に官報に掲載された1件目の案は、顧客の暗号資産取引の相手方がセルフホスト型ウォレット(取引所などの金融機関が管理しないウォレット)を使う場合に、銀行と送金業者(MSB)へ追加の義務を課す内容だった。取引額が1万ドルを超えるか、24時間以内の複数の取引の合計が1万ドルを超える場合はFinCENに報告し、顧客の本人確認を行う必要があった。3000ドルを超える取引では顧客と取引相手の記録を残すよう求めた。FinCENが指定する海外の国・地域にあり、米銀行秘密法(BSA)の適用を受けない金融機関のウォレットも対象に含めた。
意見募集は2021年1月4日にいったん締め切られたが、FinCENは追加の法的根拠と報告様式の情報を示して1月15日に期間を再開し、28日にもう一度延長して最終的な締め切りを2021年3月29日とした。その後、最終規則は出なかった。FinCENは今回の撤回文書で、この規則案について「今後いかなる措置も取らない」と明記した。
ミキサー取引はIPアドレスまで
2件目の案は2023年10月23日に出された。米国外で行われる暗号資産のミキシングを米愛国者法311条に基づく「マネーロンダリング上の主要な懸念がある取引類型」に指定し、金融機関がミキシングが関わる取引を認識した場合や、その疑いがある場合に報告させる案だった。報告項目には取引額、暗号資産の種類、使われたミキサー、顧客のウォレットアドレス、トランザクションハッシュ、取引日、IPアドレスが含まれた。顧客の氏名・生年月日・住所・メールアドレスの記録も求めた。
ミキシングの定義は広かった。複数のウォレットのコインを一つにまとめることだけでなく、コインを分割して複数回に分けて送ること、使い捨てアドレスを使うこと、コインを別のデジタル資産に交換することまで、出所・送り先・金額を分かりにくくする方法であれば該当し得た。意見募集は2024年1月22日に締め切られ、連邦官報の集計では2239件の意見が寄せられた。
提案から撤回まで6年近く
- セルフホスト型ウォレット報告規則案を官報に掲載
- 2度延長された意見募集が締め切り
- 米国外の暗号資産ミキシング報告規則案を官報に掲載
- 財務省、ミキサー「トルネードキャッシュ」への制裁を解除
- ホワイトハウスのデジタル資産作業部会報告書、ミキサー規則案への今後の対応の検討を勧告
- 2件の規則案の撤回文書を事前公開、6日に官報掲載
FinCENは撤回の根拠として、2025年7月の大統領直属デジタル資産市場作業部会の報告書を挙げた。報告書は「トランプ政権は、合法的なデジタル資産利用者がパブリックブロックチェーン上でプライベートに取引する能力を支持する」と記し、犯罪者がミキサーを使う一方で、合法的な利用者も金融プライバシーのためにミキサーを使うことがあるとした。FinCENは、広いミキシングの定義が正当な活動を萎縮させ、金融機関に大きな報告負担を課しかねないとの意見を踏まえたと説明した。
一方でFinCENは、犯罪者がいまもミキサーなどを使って捜査を妨げているとの立場は維持した。ミキサーが関わる取引でマネーロンダリングやテロ資金供与の兆候を引き続き監視し、必要に応じて将来措置を取る可能性があるとした。2件の文書にはFinCENのジミー・カービー(Jimmy L. Kirby)副局長が署名した。財務省は2025年3月21日にミキサーサービスのトルネードキャッシュへの経済制裁を解除した際、変化する技術・法的環境の中で行われる金融・商業活動に金融制裁を使うことで生じる新たな法的・政策的問題を検討した結果だと説明していた。
ビットコインは8万5000ドル台
韓国時間6日午前7時30分ごろ、ビットコインはバイナンスで8万5940ドルと24時間前より0.4%安かった。アップビットのウォン建て市場では1億1619万ウォンで取引され、キムチプレミアム(韓国の取引所価格と海外価格の差)はアップビット基準で約0.55%だった。プライバシー機能を掲げるジーキャッシュ(ZEC)は同時刻、バイナンスで1343ドル台と0.4%下落した。ジーキャッシュはアップビットのウォン建て市場には上場していない。