韓国、暗号資産課税を2029年へ2年延期 損失の3年間繰越控除も推進

イ・ヒョンイル副首相、5日に暗号資産課税の2年延期推進を発表、2029年施行へ
CARFによる米国との情報交換が2029年に始まる点とデジタル資産法の制定を考慮
損失の繰越控除3年を推進、詳細な課税基準は2028年上半期に公表
韓国政府は11月5日、来年1月に施行予定だった暗号資産の所得課税を2年延期し、2029年に施行する案を国会と協議して進めると明らかにした。イ・ヒョンイル副首相兼財政経済部長官が同日、ソウルの政府庁舎で暗号資産の所得課税に関するブリーフィングを開き、表明した。投資損失を3年間繰り越して控除できる制度の導入も目指す。
課税を延期するには法改正が必要だ。現行の所得税法は2027年1月1日以降に暗号資産を売却・貸与して得た所得から課税すると定めており、延期案が確定するにはそれまでに国会が改正案を可決する必要がある。
米国との情報交換が始まる年に合わせた
政府が挙げた一つ目の理由は海外取引の情報だ。各国が暗号資産の取引情報を自動的にやり取りする「暗号資産等報告枠組み」(CARF)を通じて、米国との情報交換が始まるのは2029年だ。政府は、それより前に直ちに課税すれば国内市場が相対的に不利になりかねないとの意見を考慮したと説明した。
二つ目の理由はデジタル資産法だ。政府は、同法が制定されればデジタル資産業の制度的基盤が大きく変わることもあわせて考慮し、2年の追加準備期間を経て施行するのが望ましいと判断したと明らかにした。金融委員会などと協力し、デジタル資産法の制定を急ぐ考えも示した。
政府はまず、海外取引に関する課税情報を確保できる環境を点検するとした。国際的な情報交換体制の構築動向を把握し、国内外の課税資料を連携・分析して、海外取引にも実効性のある課税ができるよう課税インフラを拡充する方針を示した。
ある年の損失を、その後3年の利益から差し引く
あわせて導入を目指す損失の繰越控除は、ある年に出た損失をその後の年の利益から差し引く制度だ。現行法では、利益と損失を通算できるのは1年の中だけだ。例えば1年目に1000万ウォンの損失を出し、翌年に1000万ウォンの利益を得た場合、現行の方式では1年目の損失に関係なく、翌年の利益1000万ウォンから基本控除250万ウォンだけを差し引いて課税される。繰越控除ができれば、1年目の損失を翌年の利益から差し引ける。
政府は、この控除期間を3年とする制度改善を国会と協議して進めるとした。米国や英国などの主要国も損失の繰越控除を認めており、価格変動が大きい暗号資産は一定期間の損益を通算して課税する例外を設けるのが合理的だとする専門家の提案を反映したと説明している。
現行法が定める税額の計算方法
韓国国税庁の案内によると、現行法上、暗号資産の所得はその他所得として分離課税される。売却額から実際の取得価額と手数料などの付随費用を差し引いた額が所得となり、1年間の損益を通算したうえで年250万ウォンを基本控除し、残りに20%の税率をかける。申告は翌年5月の総合所得税の申告期間に行う。
課税開始前から保有していたコインは、2026年12月31日時点の時価と実際の取得価額のうち高いほうを取得価額とみなす。今回の発表文は、この基準日をどうするかには触れていない。課税時期の延期は今回が初めてではない。国会は2024年12月に所得税法を改正し、2025年に始まる予定だった暗号資産課税を2027年へ2年遅らせた。
詳細な課税基準は2028年上半期に公表
政府は、専門家・業界・関係省庁が参加する「デジタル資産課税官民合同ワーキンググループ」を設け、課税制度の合理化、多様な取引に関する詳細な課税基準、納税者の申告の利便性向上などを議論する。発足会議を早期に開き、来年上半期まで集中的に議論して制度改善案をまとめる。政府が示した日程は次のとおりだ。
| 2026年11月5日 | 政府、課税の2年延期・損失の3年間繰越控除を推進すると発表 |
|---|---|
| 2027年1月1日 | 現行法上の課税開始日(延期案が国会を通過すれば2029年に) |
| 2027年上半期 | 官民合同ワーキンググループで集中議論、制度改善案を策定 |
| 2027年の定期国会 | 立法が必要な事項の改正案を提出 |
| 2028年上半期 | 詳細な課税基準を公表 |
| 2029年 | CARFを通じた米国との情報交換開始、課税施行(延期案が国会を通過した場合) |
財政経済部は、施行時期の調整は国内外の取引に対する課税の実効性と納税者間の公平性を高め、信頼できる課税基盤を整えるためだと説明した。問い合わせ先として、財政経済部の所得税制課・資金市場政策課と金融委員会の仮想資産課を案内した。