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チェイナリシス、AIエージェント技術を使った攻撃で不正侵入 顧客の氏名・メールアドレス閲覧

チェイナリシス、AIエージェント技術を使った攻撃で不正侵入 顧客の氏名・メールアドレス閲覧

外部の攻撃者が「攻撃目的のエージェント型AI技術」でチェイナリシスのシステム・社内ツールに不正アクセス

ユーザーID・氏名・メール・役割ラベルが閲覧された。調査データ・平文パスワード・MFA秘密鍵へのアクセス形跡はなし

バイナンスのハッキングとは無関係と説明。利用者に二要素認証の設定や、心当たりのないパスワード再設定要求などフィッシングへの注意を呼びかけ

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ブロックチェーン上の取引を追跡してハッキング資金を追う米分析企業チェイナリシス(Chainalysis)は、自社システムが外部の攻撃者に侵入されたと明らかにした。同社は韓国時間10月31日午前6時14分、公式ブログに掲載した「セキュリティインシデントに関するお知らせ」で、今月、外部の攻撃者が「攻撃目的のエージェント型AI技術(offensive agentic techniques)」を使って同社のシステムと社内ツールに不正アクセスしたことを検知したとしている。この過程で顧客企業の利用者の氏名やメールアドレスなどが閲覧された。

氏名・メールは閲覧、調査データへのアクセスは確認されず

チェイナリシスが顧客に送ったメールの全文によると、攻撃者が閲覧したのはプラットフォームに登録された利用者のユーザーID、氏名、メールアドレス、組織内での役割を示す情報(役割ラベル)だ。同社はこれを「機密性の低い顧客データ」と呼んだ。一方、グラフ・メモ・案件記録といった調査コンテンツ、取引・検索結果、平文のパスワード、多要素認証(MFA)の秘密鍵、ログインのセッショントークンへの不正アクセスの形跡は、これまで見つかっていないとした。

影響を受けた利用者や組織の数はまだ明らかにしていない。チェイナリシスは顧客企業ごとにどの記録が閲覧されたかを特定している最中で、分析が終わり次第、組織別の詳細を知らせるとしている。一部の顧客には先に通知しており、今回のメールで進捗を伝えるとした。同社はお知らせの冒頭で、今回の件はここ数週間に他の多くのテック企業で起きたセキュリティインシデントと似たものだと説明した。

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AIで侵入され、AIで守りを固める

チェイナリシスは攻撃手法の詳細を公表していない。エージェント型AIとは、人が一つ一つ指示しなくても自ら複数の作業を続けて実行するAIを指す。同社はメールで「業界全体でAIを使ったサイバー攻撃が増えている」と述べた。

対応にもAIを前面に出した。チェイナリシスは外部のサイバーセキュリティ専門企業を起用して調査しており、高性能な大規模言語モデル(LLM)を活用して、今回悪用された脆弱性にとどまらずプラットフォーム全体のセキュリティを見直していると明らかにした。悪用された脆弱性はすでに修正作業を進めている。

バイナンス事件の追跡の最中に

お知らせが出たのは、バイナンスのホットウォレット(インターネットに接続された出金用ウォレット)から約64億ドルが流出した直後だ。チェイナリシスは今回のセキュリティインシデントがバイナンスの資金流出事件とは「関係がない」と2度にわたり強調した。

チェイナリシスはバイナンス事件で中心的な追跡機関の役割を担っている。同社は30日のブログで、バイナンスの資金が米東部時間29日午後4時20分ごろから流出し始めたとし、北朝鮮のハッキング集団「トレーダートレイター(TraderTraitor)」の犯行と判断していると明らかにした。根拠として、先月ビットゲットから盗まれた資金とバイナンスの資金が混ざったオンチェーンの流れを挙げた。ビットゲットの事件でも北朝鮮の関与が指摘されていた。北朝鮮関与の判断を公表したのは米東部時間30日午前0時30分(韓国時間30日午後1時30分)だった。

チェイナリシスは業界の協力先に捜査の手がかりを共有し、資金の特定と凍結を支援しているという。凍結は東部時間29日午後5時14分ごろから始まり、同社の集計で約28億ドルが凍結された。同社は盗まれた資金が今後数日間も移動し続けると予想し、アドレスのラベルを更新していくとした。

チェイナリシスは会社紹介で、70カ国以上の政府機関・取引所・金融機関・サイバーセキュリティ企業にデータを提供し、顧客は1500社を超えるとしている。取引所が入金アドレスのリスクを判定するKYT(Know Your Transaction)なども同社の製品だ。設立は2014年。チェイナリシスは2020年4月、アップビットとの提携を拡大し、シンガポールやインドネシアなどアップビットAPACの取引所にもKYTを提供すると発表した。今回のお知らせには、どの国のどの顧客が影響を受けたかは記されていない。

チェイナリシス利用者が取るべき対策

同社は、心当たりのないパスワード再設定の要求やログイン認証の要求に細心の注意を払うよう呼びかけた。二要素認証をまだ有効にしていない組織にはすぐに設定するよう強く勧め、担当のアカウントマネージャーが設定を支援するとした。調査の進展に合わせて、顧客企業ごとに関連情報を引き続き知らせるとしている。

本記事は公開された発表・資料をもとにまとめたもので、投資を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。